自賠責保険の過失割合について
自動車や原付、バイクを所有されている方が必ず加入している自賠責保険。事故が起きた際、被害者に過失が全くなく加害者側に100%の過失があれば、加害者が加入している保険から補償を受けることができます。
しかし、被害者側にも過失がある場合、自賠責保険ではどのように判断され、どの程度の補償を受けることができるのかをここでご説明します。
自賠責保険には過失割合が適用されない?
自賠責保険も任意保険と同じように、過失割合が適用される場合があります。
しかし、自賠責保険は被害者救済の観点から任意保険の過失割合基準よりも、かなり被害者に有利になっています。被害者に有利になっている理由として、被害者救済が目的の自賠責保険が過失割合基準を厳しくしてしまうと、被害者が必要な補償を受けられなくなってしまうからです。
重大な過失があった場合には減額される
自賠責保険は、被害者救済の観点から過失割合が被害者に有利になっていることはご説明しましたが、被害者側に重大な過失がある場合には減額されてしまいます。
「死亡による損害・後遺障害による損害の場合」
積算した損害額または保険金額のいずれか低い額から20%、30%、50%の減額。
「傷害による損害・死亡に至るまでの傷害による損害の場合」
積算した損害額または保険金額のいずれか低い額から20%の減額。
(注)減額が適用された場合の支払額は、傷害による損害額(後遺障害および死亡に至る場合を除きます)が20万円未満の場合はその額とし、減額により20万円以下となる場合は20万円となります。
「被害者の受傷と死亡等との因果関係の有無の判断が困難な場合の減額」
被害者が既往症等を有していたため、死因(または後遺障害発生原因)が明らかでない場合等、被害者の重傷と死亡(または後遺障害)との因果関係の有無の判断が困難な場合は、積算した損害額または保険金額のいずれか低い額から50%の減額がされます。
重大な過失と判断される例
まず、重大な過失(重過失)とはどの程度の過失を意味するのかを調べてみると、「結果の予見が極めて容易、著しい注意義務違反のための結果を予見・回避しなかった場合」となっています。
交通事故の場合、被害者の立場により重大な過失と判断されるケースが異なります。
「被害者が歩行者の場合」
赤信号を無視して交差点に進入した場合
泥酔し車道で寝てしまった場合
高速道路上を歩いていた場合
「被害者が自動車(バイク)を運転していた場合」
赤信号を無視して交差点内で事故を起こした場合
無免許運転、麻薬等の影響で正常な運転ができない場合
多量のアルコールを摂取し運転した場合
センターラインオーバーで対向車と事故を起こした場合
一方通行を逆走し事故を起こした場合
停車中の車に接触し事故を起こした場合
過失割合は、事故が起きたときにとても重要な問題です。過失割合により、自賠責保険や任意保険の損害金が減額されたり、行政処分により免許証の点数にも影響がでます。
過失割合については、「判例タイムズ」によって確認することも可能ですが、インターネット上にも事故状況による過失割合について掲載されているので、事故が起きた際には確認してみましょう。
実際に事故が起きた場合、被害者又は加害者の任意保険会社は「判例タイムズ」を確認し、過失割合の交渉をスタートします。この「判例タイムズ」には、今までに起きたさまざまな事故の判例が記載されています。判例を確認することで、ある程度の過失割合は決まります。
ただし、スピードの出し過ぎ・ウインカーの有無などのより、1割又は2割の修正等が行われます。
過失割合に大きな影響を与えるのが、事故現場で事故の目撃者の証言です。事故が起きた際、被害者救護で気が回らないかもしれませんが、目撃者を捜し名前や連絡先を確認し警察・保険会社対し事故状況を証言してもらいましょう。
一番良い方法は、車載カメラ(ドライブレコーダー)を取り付けることです。安い物では1万円から買うことができます。事故処理もスムーズになり、最強の目撃者となりますので自動車には必ず取り付けをしましょう。