握り、馬など「賭けゴルフ」に違法性はあるのか? 賭博罪とは?
ゴルフをプレーするうち、ゲームをより楽しくしようと負けた者が勝った者にお金を支払うという約束をすることがあります。
これをゴルフでは「握り・握る」といいます。
このゴルフの「握り・握り」は注意が必要です。
もしかしたら違法行為をやっているかもしれません。
ここでは、ゴルフにおける違法行為についてご紹介します。
握りとは?
冒頭で述べましたが、ゲームの勝ち負けに応じて金銭の支払いを生じさせる行為(賭け行為)を「握り・握る」と言います。
握りの種類は、「ナッソー」「ラスベガス」「チョコレート」「オリンピック」などいくつかあり、古くからプレーされてきた歴史があります。
この賭け事は賭博として扱われるのでしょうか?
賭博罪とは?
賭けゴルフをして賭博罪と判断されるのは以下の警報に触れた場合です。
刑法185条
賭博をしたものは50万円以下の罰金または科料に処する。
ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない。
賭博罪が成立するためには、当事者双方がリスクを負う必要があります。
このため、パーティなどで行われるビンゴゲームなどの場合は、当事者一方が景品を用意するだけなので、片方が負けても損をしないため賭博とは言えません。
また、「一時の娯楽に供する物」とは、関係者が一時娯楽のために消費する物を指します。
例えば、ゴルフで振る舞われる缶ジュースや食事などといった、その場で消費してしまうものが挙げられます。
賭博は偶然の勝敗によって財産上の利益の得失争う行為をいいます。
プレーヤー同士が勝敗にお金をかける場合や、他のプレーヤーの成績に対してお金を賭けるといった馬券と似た場合でも賭博と判断されます。
テレビなどでよく見る車や賞金が贈られるものは、スポンサーが賞品・賞金を出しているため賭博にはなりません。
パチンコ・競馬が賭博罪にならないのはなぜ?
競馬や宝くじなどは、公営ギャンブル・公営くじと言われています。
これらの公共ギャンブルは合法的に賭博が認められています。
・公営競技
競馬や競艇などを公営競技といいます。競馬には競馬法や競艇にはモーターボート競争法、競輪には自転車競技法などというように、競技のそれぞれは法律によって合法性が保たれています。
・宝くじ
宝くじには「当選金付商票宝(宝くじ法)」によって合法性が認められています。
宝くじの目的は収益の使い道を「公益性」と「地方財政の健全化」にあると定義されており、公の利益のための施策として成り立っています。
これらの公営賭博は戦後の復興や公共事業の資金調達を目的としていました。
また、競馬は畜産業、競艇は船舶事業、競輪やオートレースは機械工業や体育工業などと結びつきが強く、またその歴史も深いです。
このため、戦後という時代背景の中で日本の成長に貢献しながら認められている存在なのです。
・パチンコ
パチンコは「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」によって営業が認められています。
認められているものの、風俗営業法では現金や有価証券を商品として渡すことは許可されていません。
そのため、パチンコでは出玉をまず景品と交換し、パチンコ店近くにある景品交換所で景品を現金で買い取るといった営業形態をとっています。
このパチンコの場合は、違法ではないグレーなラインと言ってよいでしょう。
握りは賭博罪にあたるのか?
賭博罪は賭ける金額の大小にかかわらず賭博行為となります。
ただ仲間内であり、金額も数百円程度、そして単発(常習でない)の賭博の場合は、直ちに逮捕される可能性は低いものの、賭博罪の定義に当てはまると考えられます。
賭博罪は、常習と判断されれば3年以下の懲役を課せられることがあります。
ゴルフで、現金を賭ける行為は間違いなく不法行為であるということを知っておきましょう。
ゴルフは現金の賭けがなくても十分に楽しめるスポーツです。
また、初心者の方には「握り」を知らなければゴルフを楽しめないと思い込んでいる方もいます。
ゴルフプレイヤー一人ひとりが、純粋なスポーツとして楽しめるよう倫理を高めていく必要があると言えるでしょう。